何を比較するのか

比較というと価格比較にばかり目が行きがちですが、具体的価格の数字をもたらすものは、6つの項目です。これを踏まえないと、意味ある比較はできません。

6つの項目でそれぞれ比較

葬儀とは、整理すると、たとえば、「家族葬(1規模)を仏式(2宗教)で、かわさき南部斎苑(3場所)で、なるべく費用を抑えて(4費用)、家族葬をメインにしている(5サービス)A社(6葬儀社)でやって○○円」と いうことなので、6つの項目すべてが比較可能な対象です。

6つの比較検討項目

1、規模 
主にどれくらいの規模の葬儀にするのか
直葬(火葬)、一日葬、市民葬儀、家族葬、こぢんまり葬、一般葬、大型葬
2、宗教
どんな宗教の葬儀にするのか
仏式、神式、キリスト教葬、友人葬、無宗教葬、音楽葬・・・
3-1、場所(エリア)
どのあたりで行うのか
麻生区、川崎区、幸区、高津区、多摩区、中原区、宮前区、横浜市・・・
3-2、場所(斎場)
具体的にどの斎場で行うのか
駅から近い、設備が整っている、待ち日数がない、費用が安い、家族葬向け・・・
かわさき北部斎苑、かわさき南部斎苑・・・
4、費用
おおまかなイメージや具体的数字はあるか
最低限、相場並み、まずは気にせず他の項目優先・・・
5、サービスの質
大まかなイメージはあるか
最低限、できることは自分たちでやる、余計なものはいらない、華美にならないように、きめ細かい対応、フォローを厚く・・・
6、葬儀社
どこにどんな葬儀社があり、その特徴は何か

ということは、6つの項目においてすべて比較しようとすれば、計算上は1000種類を超えるような選択肢になるでしょう。ただ、選択肢があるというだけで実際は、ほとんどの項目は関係者との情報交換や情報収集によって決められていくものです。なので、多くの場合、6つの項目すべてを比較検討するということはなく、具体的な斎場と、葬儀社の比較検討をする場合が多いかもしれません。

比較なしで決められたもの

具体的に、比較しなくても決定できるものは何かをまず書き出しましょう。身内からの情報収集や情報交換で1規模や2宗教は決まっていくことが多いと思います。

たとえば、「対象者や家族の意向で家族葬」「菩提寺があるので仏式」は決まりという具合です。つづけて、4費用や5サービスも具体的な数字や言葉は出ないかもしれませんが、「費用はなるべく抑えたい」とか「家族葬でも手をぬかないところ」というように、ある程度のイメージは出てくるでしょう。

このように、大体は、関係者との情報交換によって決まってしまうかもしれませんが、それでもどちらにするか迷う場合もあるかもしれません。

規模で言えば、「直葬にするのか、一日葬にするのか」「一日葬にするのか、家族葬にするのか」「家族葬にするのか、一般葬にするのか」

宗教でいえば、「仏式にするのか、無宗教にするのか」

そして、決まってないものについては、比較検討して決定するということになります。選択肢としても良い、それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで決めていくことになるでしょう。

比較する項目はメリット・デメリットを考慮する

それぞれの項目ごとに一般的なメリット・デメリットを概観していきましょう。(規模と宗教の詳細にはついては、規模と宗教、斎場と葬儀社については次ページ以降で詳細します)

規模

  メリット デメリット
直葬(火葬) 費用が最低限 ・儀式がない。
・ゆっくりしたお別れの場がない。
一日葬 ・家族葬ほど費用もかからず、火葬だけよりも満足度が高い。
・通常の葬儀よりも拘束時間が短い。
・仏式の場合、僧侶の了解が必要。
・伝統的な式に慣れている人には違和感がある。
・一日のみで利用できる斎場が少ないため、斎場費は二日間分の費用がかかることが多い。
市民葬儀 規格部分の費用が決まっている。 規格部分の融通はきかない。
家族葬 ・一般葬よりも費用が安い。
・家族だけでゆっくりお別れができる。
家族以外で会葬に来たい人もいる。
こぢんまり葬 家族葬よりも門戸が開かれている。 会葬者の線引きが難しい。
一般葬 お別れしたい人皆にお別れの場ができる。 ・費用がかさむ
・段取りや対応に追われてしまう。

宗教

  メリット デメリット
仏式 現状の葬儀において、一般的なので流れがスムーズ、どこの葬儀社でも無難にこなせる。普段の生活では仏教には何のかかわりもないが、一般的だからという理由で仏式にする場合も多い。その場合も、お布施は必要。
神式
キリスト式
友人葬
おおかたの場合、積極的理由によるものなので、宗教が明快で、尊重されている感じがします。家族ぐるみで信仰をしている場合には問題はおきないが、故人だけがその信仰を持っていたような場合は、少し面倒になることもある。葬儀に当たっては、会館が絞られる場合もある。その宗教に慣れている葬儀社で施行するのが無難。
無宗教葬 ・故人の趣味や職業などを活かした印象深い葬儀ができる。
・家族間などで宗教対立があるような場合によい。
・宗教者への謝礼が不要。
・親族などの理解が必要。
・伝統的な式に慣れている人には違和感がある。
・会館が絞られる場合がある。
・他のどの宗教よりも、慣れている葬儀社であることが望ましい。たとえば、小規模だと葬儀社によっては式にしまりがなくなる場合がでてくる。

規模と宗教の詳細につていは 規模と宗教 のページでご覧いただけます。

費用

  メリット・デメリット
優先するかどうか 予算が決まっているなど、費用を優先すれば、他の項目の選択肢が限られる。費用にこだわらなければ満足度は上がるかも知れないが、適切なもの、不要なものを見分ける眼をもっていないと、費用がかさむことになる。

サービスの質

  メリット・デメリット
優先するかどうか サービスの質(スタッフのきめ細かい対応や心遣い、関係者の調整能力、斎場の提案力など)は満足度に大きく影響する。一般的傾向として、よいサービスを求めれば費用は高くなる。中には、ある程度費用を抑えてサービスの質が良いところがあるが、見極めるのは難しい。激安を謳っているところに良いサービスは求めにくい。

それぞれの項目は相性がある

項目は独立していますが、それぞれの項目は関連性があるので、一つの項目を決めると、違う項目も絞られてきます。項目が決まるごとに、選択肢もどんどん絞られてくるでしょう。

たとえば、家族葬であれば、それ用の斎場が良いでしょうし、一日葬であれば、一日貸しでも利用できる斎場が良いでしょうし、大規模葬であれば可能な斎場は限られてきます。宗教によっても斎場は絞られてきます。
費用を抑えてといういことであれば、斎場のみならず、葬儀社もそれにあったところは絞られてきます。無宗教葬をうまく仕切れる葬儀社も限られてきます。

多くの場合、ほとんどの項目は関係者との情報交換によって決めてられ、比較検討するのは、具体的な斎場と、葬儀社の場合が多いかもしれません。 ということは、斎場と葬儀社をいろいろ当てはめ、比較して、具体的費用を見て、比べるという流れになることが多いでしょう。
この場合、ざっくりと、場所(エリア・斎場、斎場の待機日数)と費用、サービスの質をどのような優先順位にするのかもイメージしておくと比較しやすくなるでしょう。

どんな葬儀をどの葬儀社で

上記で整理したようなことを踏まえ、関係者の意見調整を繰り返したり、決まっていない項目についてメリット・デメリットを比較検討をへて、「どんな葬儀をどの葬儀社で」という葬儀プランが出来上がっていきます。

たとえば、「仏式の家族葬を、(少し待ち日数があってもいいので)かわさき南部斎苑で、費用を抑えてくれる、家族葬に特化しているA葬儀社でやって◇◇円」 というイメージが出来上がります。

もしくは、「仏式の家族葬を、(待ち日数が少なければ)かわさき南部斎苑で、マンツーマン対応のB葬儀社でやって○○円」だけれども、待機日数が多いようであれば、自社斎場を持っている、C葬儀社でやって□□円、という感じです。

事前の準備段階では、斎場の具体的待機日数や菩提寺さんの日程の都合はわからないので、これらのことも想定しておければ、より選択肢のあるイメージをつくっておくこともできます。

葬儀の準備」で述べたように、場所(エリア・斎場、斎場の待機日数)、費用、サービスの質、これらの優先順位によって条件も変わってくるので、全く同じ条件の費用比較と同時に、ある程度幅を持たせて、斎場が変わった場合も含めて、費用帯を把握しておくのがよいでしょう。